亡くなった子にありがとうを伝える〜もとこちゃんの場合

亡くなった子とのあのね 実例

こんにちは、猫専門アニマルコミュニケーターの赤ツナギです。

 

亡くなった子にありがとうを伝えるあのね

旅立ってしまった大事なあの子に、伝えたいことがある飼い主さん、多いと思います。

私も含め、大抵の飼い主さんが『ゴメンね』や、あぁすれば良かったのでは・さぞ痛かったろう

辛かったろうと、申し訳ない・後悔の気持ちを沢山お持ちです。

そして、一緒に過ごしてくれて、ありがとう。大好きだよの気持ちも。

このセッションでは、飼い主さんのそんな気持ちを、あの子に伝えることが出来ます。

 

今回は、飼い主さんの人生のパートナーとして生涯を過ごした『もとこちゃん』との

あのねを、ご紹介します。

※飼い主さんから掲載をご了承頂いてます。

 

 

もとこちゃんのプロフィールとエピソード

生後3ヶ月で飼い主さんに迎えてもらった、ロシアンブルーの、もとこちゃん。

以来18年、ほぼ離れずに飼い主さんと過ごしました。

 

活発で気が強くて、ちょっと不器用なところが、大好きで大事で、たまらない魅力の持ち主でした。

以下、飼い主さんからのエピソードです。

 

もっちゃんと初めて会ったのは18年前のこんな暑い日でしたね。

他の猫さんはみんな寝ていたのに、もっちゃんだけは起きてきて、トイレやらご飯やらケージの中でウロウロしていて、そのマイペースなところが好きでした。

 

最初は私にはまったく興味がなくて、でも仕事から帰ってくると必ず玄関まできてくれて、嬉しかった。

 

そういえば、避妊手術に連れて行こうとしたらキャリーのドアを蹴破って国道を爆走したことがありましたね。

早朝だったから車が走ってなくてよかった。

もっちゃん、なぜかUターンして、我が家の植え込みに隠れて、あの時は生きた心地がしなかったです。

 

私がお風呂に入っているとかならず出待ちしていて、長風呂ができなくなりました。

可愛くて優しくてかしこい女の子でしたね。

 

東日本大地震の時は、私が勤務先から帰れなくて、やっとの思いで深夜帰宅したら、もっちゃんはベッドの中にもぐって、怖かったのに、ひとりで家を守ってくれていて、私は抱っこしてそして号泣しました。

 

いっぱい悪戯もしてましたね。トイレに落ちたり、お風呂に飛び込んでみたり。

でも、その後にきた妹のにこちゃんは、もっちゃんが大好きで、もっちゃんの言うことはなんでも聞いて、もっちゃんはあまりにこちゃんが好きじゃなかったみたいだけど、お姉さんとしていろいろ教えてくれていたんだと思います。

ありがとうね。

 

 

飼い主さんから、もとこちゃんへのメッセージ

 

病院変わったりおうちで点滴や投薬したけど、いつもおとなしくしていてくれた。えらかったね。

大きく目を見開いて、最期にあなたは何をみて何を思ったんだろう?て思います。

お姉ちゃまに会えて幸せだったよ。また会いたい。にこ(妹猫)は今さびしいのかもしれない。

あなたが粗相したお布団の横、最期に寝ていたクッションの上で寝起きしてます。

みんなあなたが大好き。戻ってきてくれるの待ってるから。でないとママ(私)は働く甲斐がないよ。だいすき。

 

飼い主さんからのメッセージは、続きます。

 

コロナ禍真っ只中に腎不全と言われ、毎日点滴にこないと3ヶ月で死にますよって言われましたね。というか、その時通っていた病院の先生はいつも「肥満」と怒ってばかりですごく嫌だと思いました。

自宅での緩和ケアも許してもらえなくて、でも通院がもっちゃんにとって1番ストレスってわかったから、もっちゃんの嫌な事はしたくないと、新しく出来た小さい診療所に転院しました。

 

新しい獣医さんは自宅でのケアを尊重してくれただけでなく、もっちゃんの写真を見て

「16才に見えない!もとこさん可愛いなー、目がきらきらして。お母さん(私)、ここまでよく育てましたね、

平均寿命も遥かに超えている。がんばりましたね」

と言ってくれました。

 

その言葉を聞いた時、私は声をあげて泣きそうになりました。誰かにもっちゃんを、そして私を褒めて欲しかったんだと気づきました。

 

前の病院では3ヶ月って言われたけど、自宅で点滴して、マッサージして、好きなご飯たくさん食べて、腕枕をせがんで甘えまくった結果、1年3ヶ月、もっちゃんは生きたんだよ。

 

最期はママの顔をずっとみていたね…目をぱっちりあけたまま、にゃって一度鳴いて、そのまま静かに息をひきとって。

あの時、もっちゃんは何を思っていたのかな?

そして今、どこにいるんだろう?

 

もっちゃんがいなくなった後、にこちゃんはひとり別の部屋で、もっちゃんが最後に使ったベッドで寝ています。

今もママはごっそり何かをもっていかれたようで、にこちゃんの明るさに救われています。

でも、もっちゃんが嫌じゃなかったら、病気の毛皮を脱いで、またうちに戻ってきてください。

 

世界で一番かわいくて賢くて優しいもっちゃんへ。

もっちゃんと過ごした18年は、ママの宝物です。

 

今どこにいるの? 幸せなの? なにかママに言いたいことはある?

教えてほしいな。

 

一緒にいてくれてありがとう。 帰ってくるの、待ってるからね。

可愛いもっちゃんへ。

ママより  

 

同じ思いの飼い主さん、沢山居られると思います。

保護猫活動している身としては、このように沢山の愛情を掛け合って生涯を過ごした

もとこちゃんと飼い主さんが居ることが、とても嬉しく心強いです。

 

では、私がもとこちゃんとあのねした内容を報告します。

 

 

もとこちゃんとのあのね

 

あのねするために、もとこちゃんに声をかけると、軽やかな足取りで現れ「なあに?あなたどなた?」とフレンドリーな口調でお返事をくれました。
しかしお顔は強張っていて、若干威圧的です。

自己紹介と、ママからお願いされて、ママからのメッセージを伝えに来ましたと言うと「なによー!早く言いなさいよー!!!」と、急に寄って来ました(笑)
知らん人にはキチっと距離を置くレディなのですね。さすがです。

早く早くと急かされましたが、まずは飼い主さんからの愛情を注ぎます。
お行儀よく座ってくれましたが、体はワクワク感のお陰かウズウズした様子。とても可愛いです!

愛情を注ぐと、カラフルな色が着いた円になりました。

色合い的には、子午流注の丸い表みたいです。
その表をラグのように敷き、愛情のラグの上に座り直しました。
頂いた写真のように、ゴキゲンなお顔のもとこちゃん。満足したお顔でお座りでしたよ。

今はどんな所で何をしてるの?
「今?ココはね、フワフワしたクッションが一杯のところよ。しばらくは、ココに居るみたい」
「ココで心身リラックスして、のーんびりしとくんだって」次の生に行く前のバカンス的な印象でした。
居心地良いらしく、快適そうでした。

飼い主さんからのメッセージを伝えました。

・ウチに来た時のことや、猫のママや兄弟姉妹達のこと、覚えてる?

「やだー、よく覚えてるわね!猫のママや兄弟姉妹達のことなんて、すっかり忘れてたわ。
迎えてもらったの、暑い日だったかしら。

空気が違うところへ連れて行かれて、ちょっとビックリしたけどココがアタシのおうちなのねって、すぐ理解出来たの。賢いでしょう!」当然よと言ったお顔してました。
あまり戸惑うこともなかったようですね。ご縁のある子は、そういうパターン多いです。

 

・仕事から帰るといつも玄関までお迎えしてくれて、ありがとう。嬉しかったわ。

「仕事から帰って来るのを確認するのは、私の大事な仕事よ。

帰って来た時の様子で、今日何があったかを推し量るの。
特に大変なことがあった日でも、いつも通りに迎えるの。それがママを守ることになるのよ」
飼い主さんの日々の変化をちゃんとチェックしているのですね。

それがもとこちゃんの大事なお仕事でした。

・避妊手術時の脱走の件

避妊手術の時の脱走、お聞きしただけで身が縮みました…。
よくおうちの方向わかったね?と聞いてみたところ「え、普通わかるでしょ?」
単に家の方向へ帰っただけのようですが、さぞ肝を冷やされたことでしょう。九死に一生を得ましたね。
良かったです。私もキャリーの扉が外れないよう、気を付けることにします。

・お風呂の出待ち、しなくても良かったんじゃない?

「何言ってるの、あんなところに一人で居させるなんて、正気?」
人間がお風呂を楽しんでいることを伝えましたが、フン!と横を向かれました。
そらそうですよね。でも、出待ちするのも楽しんでましたよ。

・震災の時は大変やったでしょうに。しっかりお留守番して、偉かったねえ。

「あの時は怖かったわ…取り乱しちゃった。ママの匂いがする場所にずっと居て、落ち着こうとしたの」
「そのうち、ママは大丈夫かしらって不安になって、しっかりベッドにもぐって、ママの匂いに包まれてたのよ」
帰宅して号泣するママを観て、やっぱり私がしっかりしなくちゃと思ったと言ってましたが

実のところは匂いに包まれてる内に安心して、眠っていたのでした。
とはいえ、不安な心持ちで帰宅を待っていて、飼い主さんが帰宅されて心底ホッとしていました。
気が気じゃなかったと思います。お二人とも、ご無事で良かったです。

・お上品やのに、イタズラ好きやったんやって?

「好奇心旺盛と言ってちょうだい。したいことをしただけよ」
お上品やのにイタズラ好きで、ちょっと鈍くさい感じが、殊更可愛かったと思います。
トイレやお風呂へのダイブ、目に浮かびます。同時に、飼い主さんの慌てぶりも想像してしまってニヤニヤしてしまいました。

・妹のニコちゃんに、よくしてくれてありがとう。

「まあね。あの子、ちょっとわかりが悪いのよ。イライラすることもあったけど、うん。可愛い子なのよ」
ここで、じわ〜っとニコちゃんへの愛情が溢れ、ニコちゃんが今一人ぼっちなことに胸を傷めていました。

あの子、寂しがってるでしょうに…と。

もとこちゃんのクッションで寝ていることを伝えると、ワンワン泣いてしまいました。

自分が亡くなってしまうことよりも、独りぼっちになってしまうことを気にしていました。
自分が居なくなった後、この子達(ニコちゃんとママ)大丈夫なのかしら。大丈夫だろうけど、何か出来ることはなかったのか。そう思いながら泣いていました。

しばらく見守っていると、急に顔を上げて「何とかなるでしょ!」
あっけらかんと立ち直って、続きどうぞと促されました。強い。こうでなくっちゃ!!!
立派なお姉さまです。

・腎不全が発覚し、治療を開始した時~最初の病院、次の病院の時の話をしました。

「ホント、最初の病院、最悪よ!ママの顔色が、みるみる白くなってね。私も本当に気分悪かったわ。アイツ、大っ嫌い!!!」

「次の病院は良かったわ。綺麗ですね、ステキですねって、何回も言ってくれたし、何よりママがゴキゲンなんだもの。それだけでも私は嬉しかったわ。
治療?イヤに決まってるじゃない。でも必要ですから、キチンとお受けしました」

ドヤ顔で、そう言ってくれました。
猫は雰囲気や感情を読み取るのが本当に上手です。

特に飼い主さんの気持ち、心情を察するのはプロです。
ママが安心して納得して通う病院は、苦になりませんでした。

・お別れの時、ママのお顔をジッと見て、にゃーって言って旅立ったよね。どんな気持ちだったの?

「ママ、大好き。私のこと忘れないで。離れるけど離れないからね。最期までしっかり見てて。
そう思ってたの。しっかり見て、見送ってくれたの。嬉しかった。安心して体から離れられたわ…」

良い看取りをなされたのですね。もとこちゃんが望むことを叶えてあげられて、良かったです。

看取るのはとても辛いことですが、大事な可愛い我が子の最期を看取れるのも、幸せなことです。
ママもですが、もとこちゃんも、幸せ一杯でした。

お辛かったと思いますが、望みを叶えてあげられたことを誇りに思ってください。
一番伝えたかったのは、ママ大好きです。しっかり受け止めて下さいね。

飼い主さんがもとこちゃんを思うように、もとこちゃんもママのことを思っています。

18年、あっという間でしたね。

もとこちゃんも「もっと長く一緒に居た気がするんだけど?」とキョトン顔でした。

当分はそばに居ますが、いずれまた毛皮を変えるなり、猫以外の存在になって、ママとニコちゃんのそばに来てくれそうです。

飼い主さんがもとこちゃんのことを思う度に、すぐそばに来てくれています。
いつでも、もとこちゃんのことを思ってください。思う度に、そばに来てくれていますからね。

・もとこちゃんからの伝言です。

「ニコ、アンタしっかりするのよ。無理してでも明るくふるまうこと。

じゃないと、ママのテンション下がりっぱなしになるんだからね。
頑張りなさいよ。応援してるからね。見てるわよ!」

「ママ。寂しくさせてゴメンね。でも私は嬉しかったの。大好きよ。大好きで大好き。可愛いママ。

足がすくむようなことがあったら、私を思い出して。沢山泣いたり笑ったりしてね。

食べ過ぎダメよ。大好きよママ」

 

 

本当に賢くて優しい子ですね。これからも心のパートナーとして、甘えてください。

力になってくれます。

あのねは以上です。報告が遅くなって、すいませんでした。

ニコちゃんにも、どうぞ宜しくお伝えくださいね。
もとこちゃんにも、宜しくお伝えください。

沢山お話してくれて、ありがとうございました。
お話する間、とても楽しそうで明るくおしゃまでした。愛らしくて、たまりませんでした。
改めて、お悔やみ申し上げます。

ありがとうございました。

 

あのねを終えて

 

もとこちゃんは、自身が亡くなったことに関しては、何も後悔してませんでした。

ただ、残ったママと妹猫・にこちゃんの心配をしていました。

それすらも、あのねで話に出たから心配した程度で、基本的に残った二人を心配してハラハラしていることは、ありませんでした。

 

もとこちゃんから溢れる気持ちは『大好き、可愛いママ』

 

人生のパートナーとして、しっかり役目を果たした満足感がありました。

望むことをしてくれ、沢山の愛情を交わし合い、最期を看取ってもらえて、幸せでした。

 

つくづく、飼い主さんのことをよく観て、同期同調しているなと思いました。

飼い主さんが今どんな状態か、何が彼女の支えになるのか。

ひたすら真っ直ぐ考え行動していた様子に、胸が熱くなりますね。

 

たかが猫と言う人もいますが、彼らは間違いなく、私達の大事な家族でパートナーです。

しっかりと向かい合って、お互いの気持ちをしっかりと伝え合う。

そんなん当たり前やん、やってるわと言う飼い主さんも居られるでしょうけど、観察眼は

とても猫には敵いません。

 

これからも、猫さん達に沢山気持ちを言葉にして、伝えてあげてくださいね。